クリックしてください

現在のページ

クリックしてください

ラグタイムの歴史的名盤セレクト

ここでは、かつて世に出たラグタイムの名盤の一部を紹介していきたい。このガイドが、ラグタイム音楽の理解の一助となるならば幸いである。
 





★ ラグタイムの歴史的名盤セレクト <ピアノ編>
解説 / 浜田 隆史さん / 掲載日2001.06.21

■ピアノ・ロール

CDElite Syncopations / Scott Joplin(1987)

 ピアノ・ロール盤。ピアノ・ロールの演奏は、ピアニストの演奏とは違う独自の魅力がある。ラグの魅力を理解していない、凡庸なピアニストの演奏などよりずっとおもしろくさえある。またこの盤は、晩年の Scott Joplin 本人のピアノ・ロール録音を含むという意味でも、大変貴重である。

LPJames Scott Vol.1 / James Scott(1975)

  同じくピアノ・ロール盤。近年CD化もされたようだ。James Scott の作品がまとめて聞けるアルバムはほとんどないので、見つけたら逃してはいけない。James Scott 自身はピアノ・ロールを録音しなかったらしいが、そのダイナミックな演奏のパワーは、作品から十分感じ取ることが出来る。

■ピアニストの演奏

LPスコット・ジョプリン・ピアノ・ラグ Vol.1〜3(1970-1974) / Joshua Rifkin

 ラグタイム・リバイバルの火付け役とも言える、Joplin 作品集。ラグのレコードとしては最も売れたらしく、現在もよくCD化されている。Joshua Rifkin はもともとクラシック・ピアニストだがラグをよく取り上げていて、近年もCDやLDで「Rags & Tangos」という作品が出ている。

LPラグタイムの花束〜ピアノ・ラグズ1900〜1970 / William Bolcom(1971)

 現代音楽作曲家の William Bolcom の名盤。ここでは、Scott Joplin、James Scott、Joseph F. Lamb などを取り上げている。また、ギター編曲でも有名な「Graceful Ghost」のオリジナル・バージョンが聞ける盤として押さえておきたい。William Bolcom は、クラシック・サイドの人としては最も多くの優れたラグを書いた人。

CDThe World Of Scott Joplin / Max Morath(1973)

 現在も活動を続けるエンターテナーの Max Morath が残したラグタイムの名盤。「Vol.2(1975)」も。タイトルとは裏腹に、James Scott や Arthur Marshall、Joseph F. Lamb といった人たちも取り上げているのがうれしい。彼の演奏は、生き生きとしたラグの魅力を熟知している。また本人も、ラグタイム・リバイバル以前から、独特な作風のラグを多数書いている。

LPクラシック・ラグの楽しみ〜ジェイムズ・スコット、アーティー・マシューズ作品集 / William Bolcom(1974)

 Joplin が入っていないラグタイムのレコードは、当時としてもかなり珍しい。William Bolcom の表現力豊かな演奏で、James Scott と Artie Matthews の独創的なラグを楽しめる。

LPピアニスティック・ラグ / James Levine(1977)

 指揮者として有名な James Levine が一枚だけ残した Joplin 作品集だが、意外にも演奏はとても楽しくスイングしている。クラシック界では様々な人がラグを取り上げているが、この盤は別格と言える完成度を持つ。私は個人的に、このレコードでラグタイムに目覚めたので、大変思い入れが深い。CD化もされたらしい。

CDScott Joplin -His Complete Works(4枚組) / Richard Zimmerman(197?)

 ラグタイム演奏の権威による、Joplin 全集。ラグだけでなく、歌曲やオペラの一部もピアノ譜で演奏されている。Joplin 全集は、他にも数人のピアニストが試みているが、質・量ともにこれに勝るものはない。日本盤も発売された。

LPThe Collector's History Of Ragtime (5LP) / Richard Zimmerman(1980?)

 Richard Zimmerman による、ラグタイムの研究上欠かせない優れた音源。初期のラグタイムから、流行期から外れたラグまで、時代を追って有名無名様々な作曲家のラグを堪能できる。その落ち着いたプレイにも、ラグタイムの神髄を感じることが出来る。

CDChampagne Rags -The Classic Piano Rags Of Joseph Lamb / John Arpin(1990)

 Joseph Lamb は紛れもなくラグタイム史上の巨匠である。彼のラグタイム時代当時に出版された主な曲を、ベテランの John Arpin が優雅に演奏している。Joseph Lamb の曲がまとめて聞ける盤も、数が少ない。


戻る



★ ラグタイムの歴史的名盤セレクト <ギター編(クラシック・ラグ限定)>
解説 / 浜田 隆史さん / 掲載日2001.06.21

LPThe New Ragtime Guitar / David Laibman & Eric Schoenberg(1971)

 本格的なクラシック・ラグタイム・ギター編曲の先駆けであり、歴史的名盤である。特に David Laibman の挑戦的かつ効果的なラグタイム編曲は、多くの追随者を生んだ。ソロだけでなく、そのままでは困難なラグタイム・ギター編曲を、二重奏で解決した点も見逃せない。ただこの試みは、残念ながら Lasse Johansson & Claes Palmkvist の他にはあまり受け継がれていない。

LPFamous Ragtime Guitar Solos / Ton Van Bergeyk(197?)

 オランダのギタリスト、Ton Van Bergeyk の、David Laibman と並ぶ優れたクラシック・ラグ演奏が聞ける。選曲も Joplin から Tom Turpin、George Botsford、Joseph F. Lamb などとバラエティーに富んでいる。これらのうち数曲は、CD「Black Melodies On A Clear Afternoon/Stefan Grossman」でそのまま聞ける。

LPThe Entertainer / V.A.

 Bob Evans、Jim McLennan、Leo Wijnkamp Jr.、Tim Nicolai、Dave Laibman、Ton Van Bergeyk、Dick Fegy が Scott Joplin のギターアレンジを披露している。Kicking Mule には似たような企画ものが多く、ラグタイム・ギター編曲史上大きな部分を占めている。これらの多くは、TAB Guitar School のCD付き楽譜集「Play Ragtime Guitar」にも収録されている。

LPLive In Concert / John James(197?)

 イギリスの多才なギタリストでラグタイムの名手でもある、John James のライブ盤。Pickles And Peppers や Black And White Rag などのクラシック・ラグを楽しく演奏している他、ラグタイム・ソング的な味わいの歌もいい。

LPClassical Ragtime Guitar / David Laibman(1981)

 ラグタイム・ギターの名盤。Scott Joplin と Joseph F. Lamb の少々マニアックな選曲を中心に、複雑なギター・アレンジのみごとな演奏が楽しめる。近年のCD化の際には漏れたが、Willam Bolcom の名曲「Graceful Ghost」のアレンジは、一番の聞き所でもある。

CDCarlos Barbosa-Lima Plays The Entertainer & Selected Works By Scott Joplin / Carlos Barbosa-Lima(1983-1990)

 クラシック・ギターでの様々な音楽の演奏に定評がある Carlos Barbosa-Lima の Joplin 作品集。CD化の際に、2曲がボーナス・トラックとして新たに収録された。アレンジ上困難なフレーズを、ハーモニクスなどの高等テクニックで回避するなど、演奏技量は並大抵ではない。

LPSteel String Guitar / Steve Hancoff(1985)

 ソモギのギターをプレイする Steve Hancoff が残した作品で、CD化もされた。Scott Joplin、William Bolcom、James P. Johnson、Jelly Roll Morton といった作曲家の巧みなギター編曲が聞ける。

CDScott Joplin On Guitar / Giovanni De Chiaro(1990)

 現在ではあまり見かけなくなった Scott Joplin のギター編曲を、まとめて聞くことが出来る。クラシック・ギタリストならではの、安定感あるプレイが魅力的だ。最近、「Vol.2(1998)」も出た。


戻る



★ ラグタイムの歴史的名盤セレクト <その他編>
解説 / 浜田 隆史さん / 掲載日2001.06.21

LPKing Of The Ragtime Banjo / Fred Van Eps / Vess L. Ossman(rec. 1900-1923)

 ラグタイム時代からすでに録音されていた、ラグタイム・バンジョーの歴史的名盤。神業的フレーズが随所に出てくる。Fred Van Eps は、ジャズ・ギタリストの Gerorge Van Eps の父。彼らの偉業は、弦楽器によるラグタイム・アレンジの前例として、Dave Laibman たちのラグタイム・ギター・アレンジの精神的下支えになった。

CDComplete Good Time Jazz Recordings (4CD) / Lu Watter's Yerba Buena Jazz Band

 コルネット奏者の Lu Watter 率いる Yerba Buena Jazz Band は、1940年代に活躍したニューオーリンズ・スタイルのジャズ・バンド。彼らは、クラシック・ラグを大胆にレパートリーに取り入れた。特にピアニストの Wally Rose の、つんのめるようなリズムの演奏がとてもいい感じである。Ton Van Bergeyk のギター・アレンジの一部も、彼らの演奏にインスパイアされたようだ。これは、流行期を過ぎたクラシック・ラグがどのような形で演奏されていたかを示す、歴史的資料でもある。


戻る



● ラグタイムギタリスト、浜田 隆史さんによるラグタイムの歴史的名盤紹介を掲載しています。浜田隆史さんについての情報は、オタルナイ・レコードのホームページをご覧になって下さい。
● 本レビューに関するご意見・ご感想はJRC事務局(ragtime@zac.att.ne.jp)までお寄せください。
● アルバムレビューをご提供いただけるJRC会員の方は、JRC会員専用フォームにて記事をご投稿下さい。




(C)2001- Japan Ragtime Club.
All Rights Reserved.